前作『白雪姫』が大ヒットをした後、「再び同じような映画を」という依頼がウォルトに多数寄せられたが彼はそれを拒否し、前作とは異なる冒険物語である「ピノキオ」を選んだ。
しかし、原作は社会風刺小説であり、ピノキオは悪戯っ子で、子供っぽい性格がみられ、白雪姫のような華がなかったため、夢のある物語にするのは容易ではなかった。ウォルトはストーリー作りに数ヶ月も悩み、すでにアーティストたちは作業に入っていたにもかかわらず制作を一時中断する。その間にピノキオは無邪気な性格に変更され、さらに原作ではピノキオにハンマーをぶつけられすぐに死んでしまうコオロギをピノキオの良心、そしてストーリーテラーとしての役割も持つ重要なキャラクター、ジミニー・クリケットとして登場させる事になった。制作が再開された後も熟考を重ね、2年の歳月を経てついにテンポのよい夢と希望にあふれた冒険物語が完成した。
前作『白雪姫』のように大ヒットには至らならなかったが、劇中でジミニー・クリケットが歌った『星に願いを(When You Wish Upon a Star)』は第13回アカデミー賞で歌曲賞を受賞し、アメリカ映画協会による、「映画史における偉大な歌100選」でも第7位に入るなど、古典アニメーションの傑作として今日も愛され続けている。日本でのセルビデオ出荷本数は100万本[1]。