お前はまだグンマを知らない は、グンマ県民の郷土愛をこめたメッセージアニメ

TVアニメ「 お前はまだグンマを知らない 」は、2018年4月から放送スタートした、グンマ県民の郷土愛をこめたメッセージアニメ。グンマ県高崎市に転校してきた主人公が“グンマの常識”に触れていく一話三分のショートアニメとなっている。
このアニメでは、グンマ県民の常識が“グンマの真実”として仰々しく語られる。

出典 YouTube
グンマを弄っている?
主人公の神月はチバ県銚子市から親の転勤に応じてグンマ県に引っ越してくるところから物語は始まる。グンマ県にむかう高崎線で、籠原駅から電車の前より5両に切り離され、その先は自動でドアが開かないことに驚くが、グンマ県を切り離された異形の地として取り扱う演出に郷土愛を称揚しているのか皮肉っているのか観る者の賛否が分かれるところだ。
よそ者には冷たい?
転校先で号令が「起立、注目、礼、着席」であることを知らずに「起立、礼、着席」を行っただけでクラスメイト達からよそ者扱いどころか、対立するトチギ県の工作員の嫌疑までかけられてヒモカワうどんで縛り上げられ、進路指導室である畳の部屋へ閉じ込められる。
いくら風習や文化が違うとはいえ、お互いのその過敏な反応がアニメだけにハチャメチャなコメディタッチで描かれる。
畏れながらも楽しむ主人公?
遅刻して登場した幼馴染のクラス委員長の轟の助けもあって、主人公の神月は難を逃れるが、放課後ヒロイン役の篠岡にハニートラップを仕掛けられてまんまと手玉に取られるあたり、神月は平凡であるがややドンくさい学生に思える。
そんな彼の長所短所は“嫌なことはすぐ忘れること“であり、グンマの一風変わったカルチャーに驚いて抵抗を抱きながらも物語が進むに連れて適応していくのが面白い。
実態はごく普通の人々?

ヒロイン役の篠岡率いるJKJ(上毛・かるた・ユーゲント)を筆頭に、主人公の神月をよそ者としてグンマ人と認めないと、ゆるく攻撃してくるが、グンマ人が郷土の風習や常識を押し付けるわけでもなく、ただ郷土愛が変だと思われたくないと言うあたり、どこの地方の住民達も普通に抱く感情だ。
グンマ人のみならず郷土愛や風習や常識をからかわれたくないという意味においてはどの地方の視聴者も共感を呼ぶところではないだろうか。
TVアニメ「 お前はまだグンマを知らない 」が描く、ごくフツーの人のごくフツーの常識とは?
そして、ストーリーの節々に出てくる“グンマの真実”という紹介を楽しむにつれ、グンマとそれ以外の地域に住む視聴者達の現実の身近な風習や常識との対比が見えてくる。
これらの身近な風習や常識をグローバルな視野から相対化して振り返ることで、新たな発見が楽しむことができる作品になっている。
実は、この「 お前はまだグンマを知らない 」というアニメの構成が、“コロンブスの卵”的な着眼点のアニメ作品であることに気付かされる。
© 井田ヒロト・新潮社/お前はまだグンマを知らない製作委員会